みんなが大好きなビーフシチュー。寒い冬はもちろんですが暑い日にも突然食べたくなる時があるものです。しかし、食べたいなと思っていざ作ってみたらお肉が硬い。
その原因は調理の際の温度だったり時間だったりするんですが、実は少し手を加えるだけで簡単にお肉を柔らかく仕上げることができるのです。
この記事ではお肉を柔らかくする方法とその仕組み。肉に関する豆知識なども紹介しています。
ビーフシチューが好きな方、今食べたいと思っている人も必見となりますので是非ご覧ください。
ビーフシチューの肉を柔らかくする3種の方法
肉の種類によって柔らかくする方法は色々ありますが、漬けこむ方法は基本的に肉の種類を選ばないので特売の肉などでも柔らかくすることができます。
ここでは厳選した3つの方法をご紹介します。
ワインとたまねぎに漬ける
ワインに漬けこむことで口当たりがしっとりとした仕上がりになります。赤身のおいしさも際立たせてくれる上に、ワインと玉ねぎもそのままシチューの材料として使うことができます。
- 玉ねぎ 1個
- 赤ワイン (お肉が浸る程度の量)
- お肉
- 手順
すり下ろした玉ねぎ、とお肉をジップロックもしくはタッパーなどの容器に入れて肉が浸る程度までワインを入れます。
あとは一晩冷蔵庫に入れておけば漬けこみが完了です。一晩漬ければ確実ですが、時間がない場合は3時間程度でも効果があります。
パイナップル、キウイに漬ける
パイナップルやキウイに漬けこむことで味わいはほんのりと甘く柔らかいお肉になります。
- キウイもしくはパイナップル (お肉の表面覆える程度の量)
- お肉
- 手順
キウイまたはパイナップルをすりおろします。パイナップルは缶詰の物は使用できないのでご注意ください。キウイはよく熟しているのであれば手でつぶしてしまっても構いません。
すり潰した果実と果汁をお肉と一緒にジップロックに入れてから軽くもみ込んで冷蔵庫で寝かせます。
キウイは酵素が強いので、漬けこみすぎてしまうとお肉がボロボロになってしまう可能性があります。大体の目安で1~2時間程度と覚えておきましょう。
ヨーグルトに漬ける
最も準備しやすくお手軽に試せるのがヨーグルト漬け。
タッパーやジップロックに肉と一緒に入れて漬けましょう。玉ねぎをすりおろして混ぜるのもオススメです。
冷蔵庫で一晩寝かせれば漬けこみが完了します。
アドバイス
漬けこみが終わったら調理する前に冷蔵庫から取り出して常温になるまで放置しましょう。温度差がなくなり均一に火が通るようになります。
急激な加熱でタンパク質が凝固するのを防ぐことでお肉が柔らかく仕上がります。
一度焼いてから煮込む方はキッチンペーパーで肉に付いたワインなどの水気を拭き取っておくとよいでしょう。ヨーグルト、キウイの場合も同様です。
ビーフシチューに向いている肉の部位
- 牛すじ肉
- 牛すね肉
- 牛タン
- スーパーで売ってるカレー、シチュー用の肉
- 牛すじ肉
牛すじ肉はコクが強くコラーゲンを多く含んでいるため長時間煮込むことによって驚くほど柔らかくなります。煮込み料理のビーフシチューに最適です。
赤ワインと玉ねぎに漬けこむことで臭みも取ることができます。
- 牛すね肉
牛すね肉は牛のふくらはぎの部分の肉で脂肪が少なく、コラーゲンを多く含んでいます。煮込むことによって旨味が増し柔らかな口当たりの肉になります。
肉叩きなどで叩いて繊維を壊すことでさらに柔らかな仕上がりに。
赤ワインの漬けこみがオススメになります。
- 牛タン
牛タンはさらに細かく部位が別れ、タン元、タン中、タン先とありますが、ビーフシチューにはタン先が相性がよいです。
タン先は味も濃く、煮込むことで柔らかくすることができます。ヨーグルトに漬けると味の深みがでてマイルドになります。
- スーパーで売ってるカレー、シチュー用の肉
実はスーパーで売ってるカレー、シチュー用の肉はロース肉やもも肉などの切れ端だったりします。
比較的に値段の安いカレー、シチュー用肉ですが、漬けこむことで柔らかくすることができて美味しくいただけますよ。
お肉がほろほろになる仕組み
火を通した時にお肉が硬くなるのには科学的な理由があります。その原因にはタンパク質が関係しています。
大きく分けて3種類のタンパク質がお肉には含まれており、それぞれ凝固が始まる温度が違っているのです。
45度から50度で凝固する筋原線維のタンパク質、52度から62度で凝固する筋形質タンパク質、65度で凝固が始まり、80度を超える熱でゼラチン質になるコラーゲン。
タンパク質は熱で凝固するので分解する酵素に漬けておくことで熱を通した際に凝固しづらくなります。
- ワインと玉ねぎの場合
乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸といった有機酸が肉のphをさげることで保水性があがります。
さらに玉ねぎのプロテアーゼという成分とワインに含まれている酵素の作用でタンパク質が分解され、火を通しても硬くなりづらいので柔らかく仕上がるというわけです。
- キウイ、パイナップルの場合
キウイとパイナップルにはそれぞれタンパク質を分解する酵素が含まれています。キウイはアクチニジン、パイナップルはブロメリンと言って
2つともタンパク質を分解してくれる成分です。
- 時間をかけて煮込む場合
コラーゲンを多く含むテール肉、牛すじ肉、牛すね肉の場合は長時間煮込むことでコラーゲンがゼラチン質に変化し、柔らかくすることができます。
80度以上の温度で熱し続けることが条件となるので時間をかける必要がありますが、仕上がりはとても柔らかくジューシーになるというわけです。
お肉豆知識
肉が硬くならないように最初から柔らかい部位の肉を使うという方法もあります。
サーロインのステーキ肉を使用して一気に時短、ということも可能です。実際にそういうレシピが存在します。
ですが、肉から出る出汁と旨味に関してはサーロインと比べて値段も安い牛すじ肉などに軍配あがるのです。
フィレ肉なども筋繊維が少なく柔らかいですが、焼いて食べる方がおいしかったりします。
筋や繊維の少ない部位の肉は長時間煮込む必要がない分失敗もしづらいので時間がない時の選択肢として覚えておくといいかもしれません。
まとめ
- お肉を柔らかくするにはワインやパイナップルなどの果実に漬ける。
- ビーフシチューに向いている肉の部位は牛スジなどの筋繊維とコラーゲンを多く含む肉。
- お肉がほろほろになるのは酵素でたんぱく質が分解され、熱で凝固しづらくなるから。
さいごに
ビーフシチューのレシピや肉の種類は数多くありますが、肉を柔らかくする方法はほぼ共通しているようでした。とくに多かったのはワインを使った方法です。
どの方法も買ってすぐに仕込みだけすれば放置可能なので本当に簡単な一手間といった感じでした。
特にキウイとパイナップルの方法は他の方法と比べて短時間で効果が見込めるのでこれなら時間をかけたくない人もお手軽なのでいいですね。
また、ビーフシチューだけでなくカレーや他の料理にも応用できるので是非試してみてください。
以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。