あなたはすき焼きが好きですか。
すき焼きの具材を鍋に入れる際に「牛肉が硬くなるからお肉としらたきは離して入れる」と聞いたことがあると思います。
牛肉としらたきはコンビで料理に使われることが多いですよね「すき焼き」だけでなく「肉じゃが」「牛丼」と色々な料理で牛肉としらたきは一緒に使用されます。
そんなしらたきですが「牛肉と一緒にすると硬くなる」と言われています。
それはなぜなのか。また、2017年を境に「しらたきは牛肉を硬くしない」ということが証明されたそうです。
今回はその真相に迫りたいと思います。
しらたき牛肉を硬くする?その理由は?
牛肉としらたきはお鍋に入れるときは離して入れる。こう言われている理由の一つに「牛肉が硬くなるから」という理由があります。
牛肉が硬くなる理由は「カルシウム」です。
牛肉はカルシウムのアルカリ性に触れると反応し、硬くなると言われています。これがまさに「しらたきは牛肉と離して入れる」に繋がっているのです。
こんにゃくやしらたきは製造される過程で水酸化カルシウムや炭酸ナトリウムなどの凝固剤で固められます。
また、えぐみが強いこんにゃくやしらたきはこれまたカルシウムの含まれる消石灰や炭酸ソーダでアク抜きされます。
それによりカルシウムを含んだままこんにゃくやしらたきは牛肉と調理され、牛肉が硬くなってしまうと言われているのです。
牛脂を塗った鍋に牛肉、砂糖をふりかけて、醤油、酒、みりんをかける。
もはや常識だけど肉と白滝は対角線上に1番離す。肉が硬くなるからね。
最後に春菊 pic.twitter.com/wpLLei1Uej
— 笹谷 京平 (@NTmZwQAsZwk75oK) January 7, 2022
白滝と牛肉は一緒に入れない方がいいって聞いたな
肉が硬くなるって— 黒華 (@kuroka1111) November 4, 2020
このように実際に「牛肉としらたきは離して入れる」のが良いと信じている方も多いです。
しらたきが牛肉を硬くするというのは誤解!
2017年にしらたきを含めこんにゃくを生産する者たちで構成された「こんにゃく協会」が「しらたきで牛肉は固くなるのか」についての実験をし、その結果を発表しました。
国産和牛と米国産牛を「しらたきなし」「水洗いしらたきあり」「下茹でしらたきあり」のそれぞれで一緒に茹で、その硬さを比較しました。
結果は「大きな違いはない」という結果が出ました。
また、「牛肉を硬くする原因」とされていたしらたきのカルシウム成分が意外にも少なく、その量は焼き豆腐の半分程度とのこと。
このことで一気に「しらたきが牛肉を硬くする」という風評が誤解であったことが知れ渡りました。
牛肉の美味しさがしらたきで軽減する?
「しらたきは牛肉を硬くしない」ということが証明されましたが、実は他のところで悪影響を与えている可能性が出てきました。やはりここでも「カルシウム」が関係しています。
結論から申しますと「牛肉としらたきは離して煮込むのが良い」と言えます。
その理由は「色」です。
お肉にはミオグロビンという成分が含まれており、これが熱に反応することによって鮮やかな赤色のお肉が褐色に変化します。ミオグロビンがメトミオグロビンに変化するのです。
このミオグロビンがカルシウムと反応するとどうなるのか。
お肉を黒くしてしまうのです。
このように熱を通すと大抵の食材が食欲をそそる色に変化しますが、他の食材の成分と反応して本来の自然の色とは異なる色に変色してしまうことがあります。
しらたきは牛肉と一緒に煮込んでも牛肉を硬くしないということが証明されましたが、残念ながら牛肉の色を黒く変色させてしまうということが言えます。
牛肉としらたきを一緒に調理するコツは?
「しらたきと牛肉は一緒にしてはいけない」とはいうものの、実際、この組み合わせはとても美味しいですよね。
どうすればケンカせずに一緒に調理されてくれるのか。
しらたきを下茹でする
牛肉としらたきを一緒に調理するコツは「しらたきの下茹で」です。
しらたきを下茹ですることでしらたきに含まれるカルシウムを減らすことができるのです。そうすることで牛肉の色も変わりにくく、見た目も美味しく仕上げることができます。
牛肉としらたきを一緒に調理する際は、しらたきを下茹でしてから調理しましょう。
しらたきを水洗いする
しらたきをスーパーで買った際に一緒に袋に入っている水分なんだと思いますか。
あれは凝固剤が薄まったものです。凝固液と一緒にしらたきが袋詰めされています。
凝固剤はカルシウム成分を含むものなのでその水分ごと調理してしまうとその液のカルシウムが牛肉を硬くしてしまいます。
ですので、しらたきは調理する前によく水洗いし、できるだけカルシウム成分を落とした状態で牛肉と合わせましょう。
熱とカルシウム
お肉は熱を通すと生の状態と比べ当然、硬くなりますよね。
これは「熱凝固」と呼ばれるものです。
しゃぶしゃぶはサッと潜らせるだけなのでお肉を柔らかい状態で食べることができるのです。
先ほどカルシウムがアルカリ性であることで牛肉と反応し、お肉が硬くなるとお話ししましたが、実はカルシウムは「熱凝固」とも関係があります。
カルシウムは熱凝固を促進する作用があります。
つまり、普通に牛肉を茹でる時と比べ、カルシウム成分が入っていると早く硬くなってしまうのです。
そういう意味でもしらたきの袋に入っている凝固剤はできる限り洗い流してからしらたきを使用しましょう。
牛肉としらたきまとめ
今回は「牛肉としらたきを一緒にすると硬くなる?」についてご紹介しました。
結論として、しらたきは牛肉を硬くしないが、しらたきは牛肉の色を変えるということがわかりました。
しらたき自体のカルシウム成分は少ないですがしらたきの袋の中の液体にも
カルシウムが含まれています。
牛肉としらたきを一緒に調理する時にコツは2つです。
- しらたきを下茹でする
- しらたきをよく洗い流す
しらたきの疑惑が晴れてよかったです。
牛肉としらたきの組み合わせは最強です。皆さんも「コツ」を活用し、おいしく「すき焼き」「肉じゃが」「牛丼」を食べましょう。